SELDER ST-16って実際どうなの?
キングオブ初心者ギターと言われる(?)SELDER ST-16ですが、悪い評判もチラホラ見かけますよね…。
結論、僕は愛用してますよ!
というわけで、実際にこのギターを愛用している僕が、リアルな感想をお話しします。
これからエレキギターを始めたい方や、楽しみたい方の参考になれば嬉しいです。
SELDER ST-16の基本情報とよくある悪い評判は?
SELDER(セルダー)は、サクラ楽器が展開する初心者向けのエレキギターとして知られるブランドです。
中でもST-16は、いわゆる“ストラトキャスタータイプ”の定番モデルですね。
価格は色々な付属品が付いたセットで15,000円前後とかなり手頃で、長年よく見かけます。
その価格と豊富な付属品から「初めての一本」に選ばれることが多いんですよね。
ただ、その手軽さゆえにネット上では「品質が悪い」「音が軽い」「すぐ壊れる」「おもちゃ」などの口コミも見かけます。
実際のところはどうなのか?ここでは、よくある評判を僕の実体験と照らし合わせて検証していきますね。
SELDERは「安いけど品質が悪い」という評判は本当?
結論から言うと、「SELDERは高級ギターと比べたら確かに良くはない」です。
高級ギターと比較した場合、SELDERに使われている木材やパーツは、やはり廉価なものを組み合わせて出来ているでしょうから。
とはいえ、最近の安ギターは一昔前に比べて本当に進化しています。
SELDER ST-16も、紛れもなく“ちゃんとしたエレキギター”ですよ。
ネックやフレットの仕上がりも、今は思ったより悪くありません。
僕が触った個体は、ネックの反りなども感じず、何の違和感もないエレキギターでしたね。
安ギターでも、ちゃんと“音楽できる”クオリティなんですよ。
SELDERは「チューニングがすぐ狂う」「音が軽い」などの口コミは本当?
次によく聞くのが、「チューニングがすぐ狂う」「音が軽い」という評判です。
僕の経験では、チューニングが極端に狂いやすいとは感じませんでした。
ただ、ペグ(弦を巻く部分)は確かに少し頼りないですね…。
各ペグの回し心地が違ったり、軽すぎたりするのはあります。

音についても「軽い」と言われがちですが、これも一概に悪いとは言えません。
むしろその「軽い音」がハマって心地よく感じる場面もあるでしょう。
結局は、その人自身が「どんな音楽をやりたいか」次第なんですよね。
もし歪ませてロックやメタルをやりたいなら、ST-16よりもリアピックアップがハムバッカーのモデルを選ぶと良いかもしれません。
SELDERなら、同じ価格帯で「STH-20」というリアハム仕様のモデルもありますし、姉妹ブランドMaisonの「LP-28」というレスポールタイプもあります。
ロック系をやりたい方は、これらを検討してもいいかもしれませんね。
実際に使って感じたリアルなレビュー
ここからは、実際にSELDER ST-16を使ってきた僕のリアルな印象をお話ししますね。
自宅での録音やDTM、そして改造までひと通り試してきたので、単なる「レビュー」よりも具体的な使用感をお伝えできると思います。
改造前の状態と使用感は?
まず、購入直後の状態でレビューした記事があります。
こちらの記事では、音源付きで他のギターと聴き比べをしていますので、分かりやすいかもしれませんね。
エレキギターを買いました。 ついに(?)SELDERのエレキギターを買っちゃいました! (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||fun[…]
正直、この値段でこの音が出るなら「十分良い」と感じました。
ネックの握りやすさも悪くなく、演奏するには何も問題を感じません。
もちろん音の深みや太さは高級ギターには及ばないでしょうけど、DTM用途や練習用としては申し分ないクオリティだと思います。
価格を考えると十分ですし、安いから気兼ねなく練習で使い倒せますよね。
どんな改造をして、どう変わったの?
このギターの本当の面白さは、「改造母体」として使えることかと思います。
豊富なカラーバリエーションに、ストラトキャスタータイプなのでパーツが豊富で拡張性も抜群ですね。
僕も実際にゴリゴリ改造して、今やメインギターになっているんですよ。
まずは、ペグやブリッジなどの電装部品以外をすべて交換した改造第1弾では、パワー感がぐっと上がりました。
これも音源付きで記事を書いたり、動画化しています。
安いギターを改造してやんよ! 先日、SELDER ST-16というギターの初心者セットを買いました。 [sitecard subtitle=ここからどうぞ url=https://rikiya-ieshima.com/2308[…]
さらに第2弾では、電装系もすべて交換し、ピックアップ構成をシングルコイル×3からP-90×2に変更しています。
安いギターを改造したい! 先日、所謂安ギターであるSELDER ST-16の電気部品以外をゴッソリ交換してみました。 [sitecard subtitle=ここからどうぞ url=https://rikiya-ieshima.[…]
これで音のキャラクターがまるで別物になりました。
繊細さよりも厚みと存在感が増して、何より見た目もガラッと変わったので「このギター、ホンマにSELDERやったっけ?」と思うほどですね。
パーツを交換していくと、まるで新しいギターを手に入れたような感覚になってニヤニヤします。
実際ニヤニヤしてました。


録音・DTM用途でのサウンドは?
録音やDTMで使う場合も、ST-16はなかなか優秀です。
僕が作った以下の曲「イルミネイト」では、改造その1時点でのSELDER ST-16を実際に使用しています。
8曲目「イルミネイト」を投稿しました。 ニコニコ動画 【初音ミク】イルミネイト【ボカコレ2024冬ルーキー】 YouTube https://youtu.be/NMNy9SrOrNA 「ボカロ曲を100曲[…]
しかも、これはLogic Pro付属の無料アンプシミュレータを使って録ったので、有料のアンプシミュレータを使えばもっと良い感じの音にも出来るでしょう。
それでも、この曲はボカコレで賞をいただけました。
つまりSELDERで作った曲がボカコレで受賞したんですよ。
#ボカコレ2024冬 にて投稿した「イルミネイト」「風月の調べ」の2曲が、NRCイチ推し楽曲に選ばれたみたいです。
— 浅野りきや@かけだしボカロP (@Rikiya_COIMA) June 1, 2024
コメントも頂いて非常に励みになりました😃
ありがとうございます🙇♂️https://t.co/wR9ehWEYOR https://t.co/3fzmPJPWZb pic.twitter.com/KVolYl42ru
また、改造その2が完了した後で弾いてみた動画を投稿してみたら、「意外といい音ですね」と言ってもらえることもありました。
もちろん録音環境やエフェクターにもよりますが、賞をもらったり褒めてもらったり、十分通用するギターと言えるでしょう。
また意外なメリットとして、軽いギターだからこそ、長時間の練習や録音でも疲れにくいのも嬉しいポイントです。
家で気軽に弾きたい初心者の方には本当にぴったりだと思います。
いろいろな意味で「気軽に触れる」のがSELDER ST-16の魅力なんです。
SELDERの悪い評判はある程度そう、でもちょっと待って
SELDER ST-16について調べると、「作りが悪い」「弾きづらい」などの口コミを目にします。
でも実際のところ、それらは“ある意味どちらも正しい”んですよね。
良い部分も悪い部分も、それぞれの視点で見れば納得できる理由があります。
一昔前の安ギターは確かに質が悪かった
まず、一昔前の安ギターは本当に酷かったです。
フレットの端が処理されていなくて指を切ったり、ボリュームを回しても音量が変わらなかったり……そんなことが普通にありました。
でも、今の安ギターは技術が進化していて、昔のような“弾けないレベル”ではありません。
とはいえ、SELDERは出荷前に細かな調整がされていないことが多く、個体差があるのは確かです。

ネックの反り具合や弦高が合っていないこともあるので、買ったら一度お店で調整してもらうか、自分でメンテナンスしてみましょう。
“調整が必要”って聞くと難しそうですが、やってみると意外と簡単で楽しいですよ。
一度覚えれば、好みを突き詰められますし。
ギターの調整方法は調べればすぐ出てきますし、実際やってみると意外と簡単です。
高いギターと比較するものじゃない
そして、高いギターと比べると作りが良くないのは当然です。
ギターに限らず、高いものには理由があるのです。
でも、それを言い出したらキリがないんですよね。
例えばエレキギターのピックアップは、有名ブランドなら2〜30,000円くらいのものも多いです。
そんなギターと、セットで15,000円のSELDERを比較するのはそもそも残酷です…。
同等なはずがありませんから。
かかってるコストが違いますし、求めるユーザーも違うでしょう。
ただ、高いギターはもちろん素晴らしいですけど、安いギターにもちゃんと価値がありますよ。
安いからこそ気軽に楽しめる!
SELDER ST-16の最大の魅力は、「安いからこそ気軽に音楽を楽しめる」という点です。
僕自身、高校生のころにPhotogenicの初心者セットを買ったのがギターとの出会いです。
価格はSELDERと同等の安ギターですね。
ボリュームポッドが最初から効かないボロギターでしたが、それでも僕はそのギターが嬉しくて、練習も楽しかったんです。
冬休みは1日12時間ギターを練習し、ギターを抱いたまま寝落ちしていました。
あの時のギターがどれほど安くても、ボリュームポッドが壊れていても、間違いなく僕の“原点”だったんです。
だからこそ思うのは、「ハマる人は安ギターでも十分楽しめる」ということですね。
現在そのギターは、友人の家にあります。
個人的には、楽器は値段よりも“愛着”の方が重要かと思います。
自分の手で調整したり、改造して少しずつ音が変わってくるギターは、一緒に成長する相棒みたいで愛おしいんですよね。

結束バンドの余剰部を切ってないのはコストカット?
僕がSELDER ST-16を愛用する理由は?
ここまで色々と話してきましたが、結局のところ僕がSELDER ST-16をずっと使い続けているのは、“ロマン”があるからなんですよね。
オリジナルギターの母体に最適だから
15,000円という価格だからこそ、改造の母体として思い切り遊べるし、自分の理想を形にしやすいギターなんです。
僕は自分モデルのギターが欲しくて、「自分が考えた回路で、自分で組んだギターを弾きたい」と思うタイプなんです。
はい、変です。
なので、既製品のままだとどうしても物足りなく感じてしまうタイプです。
同じギターを誰かが持ってるのがあまり面白くないんですよね。
どんなに良い音が鳴るギターでも、誰かが設計したものをそのまま弾くだけでは、何だかロマンに欠けます。
でも、自分で組んだギターなら、それはもう世界でたった一つの“自分の音”になります。
本当はボディやネックも自作したいのですが、そうするとSELDERの方が安いんです。
安いので壊れても替えが効くから
この価格帯なら壊れても直しやすいというメリットもあります。
例えばもしネックが折れてしまっても、15,000円で新品に買い替えられますから。
ストラトキャスタータイプなので電装部品はピックガードごと交換すれば、丸ごと移植できますし。
安いから気兼ねなく触れるから
高価なギターでは改造する気も起きないでしょうし、日々の練習やメンテナンスにも気を遣いますよね。
でもSELDERならリビングに置いておけば、すぐ手に取ってパッと練習できます。
終わったらスタンドに立てかけるだけ。
もしこれが高級ギターならどうでしょう?
温湿度の管理をしたりケースに入れたり気を使うので、練習頻度も下がりそうですよね。
どんなギターも弾いてこそですし、弾かなきゃ上手くなれませんから。
であれば、気軽に触れるSELDERは僕にとって最適なんです。
道具にケチをつけるのは上手くなってから
それに、「本当に実力があるなら、どんなギターでも良い音を出せる」と僕は思っています。
とはいえ、やりたいジャンルにそのギターが向いてないなら、別のギターを使った方が良いケースは当然ありますが。
でも、音が思うように出ないとき、まずは“自分の実力”を見つめ直すことが肝要です。
「道具のせいにするのは、実力をつけてから。」
ちょっと厳しい言い方かもしれませんが、僕自身は何事もそのモットーで練習をしています。
「道具に頼って“良い音”を出そう」という魂胆が、成長を妨げ得ると考えています。
ちょっと言い過ぎかな?
まあ、「良い音=良い音楽」とは限らないのがまた面白いんですけどね。
余談:道具に頼りたくないエピソード
余談ですが、僕がレーシングシミュレータの大会に出た時のことをお話しします。
大会には筐体が5台あり、その内の1つを使用した選手が「この筐体は壊れているからまともに走れない」と運営にクレームを言っていました。
その後に僕が出走する順番になり、たまたまその筐体を使用したんですが、その時に出したタイムは全国一位でした。
当然、その選手もレーシングシミュレータショップの代表者として大会に出場した実力者です。
なので「道具にクレームをつける人は実力が無い」と糾弾する意図はありません。
ただ、結果が出ない原因が道具なのかどうかは必ず吟味すべきです。
これからSELDERを買う人へ
ここまで読んで、「SELDER ST-16、ちょっと気になってきたかも」と思った方もいるかもしれませんね。
でも、どんなギターにも“向いている人・向いていない人”はいます。
ここでは、これからSELDERを買おうとしている方に向けて、僕なりの目安をお伝えします。
SELDERに向いている人は?
まずは、SELDERがピッタリな方から。
次のような方には本当にオススメできます。
- これからギターを趣味として始めてみたい人
- ギターのメンテナンスを覚えてみたい人
- パーツ交換や改造に興味がある人
このギターは「安くて気軽に試せる」という点が一番の強みです。
ギターにハマる人は、このギターでもちゃんとハマりますから。
また、ギターの構造や調整を学びたい方にもピッタリですね。
ネック調整やピックアップ交換など、ちょっとしたDIYを通じてギターの仕組みを学べますし、「自分の手で音を作る楽しさ」を感じられます。
SELDERに向いていない人は?
一方で、次のような方にはあまりオススメできません。
- ハードロックやメタルなど、強いパワーが必要なジャンルをやりたい人
- 音の質やブランドにこだわりたい人
- 良い音が出ない時にギターのせいにしてしまいがちな人
SELDER ST-16は、軽量でピックアップも非力なので、流石に音が軽いと思います。
ハードに歪ませたい場合は、諸々のパワーが足りないと感じるかもしれません。
そもそも使われている木材が軽いのが要因なのか、ハイパワー化の改造をするなら最初からハイパワーなギターを買った方が安くなります。
実際に、P-90を2機搭載したレスポールスペシャルタイプ(約5万円)と比較すると、改造SELDER(改造費込み約5万円)は音のキレが良い分パワーが足りない感じがします。
以下の弾いてみた動画では、その2本のギターをアンプシミュレータの設定を同じにしてレコーディングしました。聴き比べてみてください。
また、ブランドや仕上げの美しさを重視する方にとっては、少し物足りない部分もあると思います。
そして何より、「良い音が出ないのはギターが悪いからだ」と思ってしまいがちな人には、SELDERは向かないかもしれません。
SELDERを弾いて良い音が出ない時に「安ギターだからだ」と考えたい気持ちは、僕もすごく理解出来ますけどね・・・。
でも良く考えてください。
高いギターで良い音を出すより、安いギターで良い音を出せた方がカッコいいじゃないですか。
逆に言うと、高いギターを使って上手く弾けないなら、それは完全に実力です。
そうやって言い訳や逃げ道を潰すために、高いギターを最初から使うのは非常に有効だとは思います。
ただ、ギターを楽しみたいくらいなら、SELDERでも十分楽しめますよ。

まとめ
ここまでSELDER ST-16の評判が悪い理由や、実際の使い心地についてお話ししてきました。
結論として言えるのは「評判が悪い」と言われる理由には、ちゃんと背景があるということです。
多くの場合、「十分に調整されていない状態で弾いた話」や、「フェンダーやギブソンなどの高級ブランドと比較した話」、あるいは「パワーの必要なジャンルをやりたい場合の不満」なんですよね。
または、昔の質が悪い時代の安ギターを買った経験があるとかですね。
最近の安ギターは昔ほど悪くないですよ。
でも、それを踏まえたうえで見れば、SELDER ST-16は“気軽にエレキギターを試せる”最高の入り口だと思います。
まずはこのギターで弾く楽しさを覚えて、上手くなってきたら自然と新しいギターにステップアップすればいいんです。
というか、ギターにハマれば勝手にギターが増えます。
暇さえあればサウンドハウスを漁ったり、リサイクルショップを巡ったりしちゃうんですよ。ホントです。
逆に、どんなに高級なギターを買っても、練習しなければ上達はしませんからね。
SELDER ST-16は、メンテナンスや改造を通して“ギターの基礎”を学べる存在です。
言わば「自分で育てるギター」であり、同時に「自分が育つギター」ですね。
そんな風に向き合える相棒として、この価格帯でここまで楽しめるギターは良いと思います。
これからギターを始めたい、あるいはギターの改造母体を探している。
それならSELDER ST-16が、新しい“音楽の楽しさ”を教えてくれる一本になるかもしれませんね。






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