このページの内容
・コードの構成音の重ね方をボイシングといい、ボイシングを変えることを転回という。
・コードの最低音を指定したい時はオンコードを使う。
・美しい旋律のキモは、転回形やオンコードによって音の移動量を少なくすること。
コード(和音)は、重ね方を変えてもコードネームは変わりませんが、音の重ね方によって響きが変わります。
つまり、同じコード進行でも違う響きを感じさせる事が出来ます。
今回は、簡単に出来る美しいコード進行を作るためのコツをご紹介します。
和音の転回形ってどんなもの?
作曲基礎2.2で触れましたが、コードの構成音の重ね方を変えることを転回といいます。
また、転回したコードを「コードの転回形」といいます。
詳しくはコチラ↓
このページで伝えたいこと・音を重ねたものをコード(和音)という。・コードの基本形は三和音・メジャーコードとマイナーコードの2種類がある・1つの曲で使う基本のコードは6種類でいい 前回、音楽の要素がわかりました。 [siteca[…]
コードは、転回してもコードネームは変わりません。
では転回は、一体どういった時に、そしてどういう風にすれば良いのでしょうか?
転回形を考えてみる
コードの転回は、音の流れを滑らかにして美しい旋律を作ることが主な目的です。
例えば、C→F→Gというコード進行があったとします。
構成音はドミソ→ファラド→ソシレですね。
ここで、各コードの構成音に注目します。
もし進行する先のコードに、共通している構成音があれば、その音は同じ高さで流用した方が良いです。
もし進行する先のコードに、共通している音が無ければ、なるべく音の移動距離は少ない方が良いです。
この様な感じで、なるべく音の移動距離を少なくした方が、滑らかで美しい旋律になりやすいです。
言葉では伝わりにくいので、実際にC→F→Gというコード進行で考えてみましょう。
C(ドミソ)→F(ファラド)の部分は「ド」が共通していますね。
なので、C→Fのコード進行では「ド」は同じ高さの音を使います。
つまりC(ドミソ)→F(ドファラ)にします。
各構成音で見ると「ド→ド」「ミ→ファ」「ソ→ラ」となっています。
共通している「ド」は同じ高さで、それ以外の音は「二度」の移動なので小さいですね。
次のFコード(ドファラ)→Gコード(ソシレ)は共通している音がありません。
なので、せめて音の移動を少なくしましょう。
ということでGコードを「ソシレ」から「レソシ」に転回します。
そうすると構成音の移動がそれぞれ「ド→レ」「ファ→ソ」「ラ→シ」になるので、移動距離は3つとも「二度」ですね。
これで音の移動距離が少なくなったので、美しくなるハズです。
まとめると、こんな感じになります。
①が普通に音を重ねたやつ
②が展開させて美しさを意識したやつ
③があえてバラバラにした独特なやつ
です。
鳴る音を●で示しています。
こうして見ると、音の配置の違いが分かりやすいですね。(自画自賛)
②は、音の移動距離が少ないのが分かると思います。
ラインを描いている様に見えませんか?
転回形を聴いてみる
という訳で、①普通、②より美しい、③独特
の3種類を実際に聴き比べてみましょう。
①普通
②転回してより美しい
③独特
スリーコードだけだとあんまり変わらないかもですが、もっと長くて複雑なコード進行になると結構違ってきます。
ちなみに、コードの構成音の配置をボイシングといいます。
ドミソ、ファラド、ソシレの様に、構成音が密集している事をクローズボイシングといい、
ドソミ、ドファラ、シソレの様に、構成音がバラけている事をオープンボイシングといいます。
オンコード(分数コード)ってどんなもの?
和音は転回してもコードネームは変わりませんが、あえて一番低い音(ベース音)を指定したい時は「オンコード(分数コード)」を使います。
オンコードとは「とある音の上にコードが乗っている」という意味のコードです。
言い方を変えると「コードの下に、ルート以外のとあるベース音がある」といった感じでしょうか。
例えば、Cコード(ドミソ)で最低音がG(ソ)の場合をオンコードで表すと
C/G や、 ConG と表記します。
分子(左側)がコード、分母(右側)が最低音となります。
オンコードを考えてみる
実際に、さっきのコード進行をオンコードで表記してみましょう。
さっきのコード進行は、C→F→Gでしたね。
そして、転回したので「ドミソ」→「ドファラ」→「レソシ」です。
このまま「C→F→G」と記載しても良いんですが、それだと転回した事が分かりませんね。
なので、一番低い音をオンコードで指定します。
すると「ドミソ」→「ドファラ」→「レソシ」なので
「C→F/C→G/D」となります。
これでちょっと分かりやすくなりました。
例えばバンドで演奏する場合、一番低い音をエレキベースが担当する場合が多いですね。
その場合は分母の音をエレキベースが弾いて、ギターが分子の音をコードで演奏すればいいです。
ギターやピアノは単体でオンコードを演奏することも出来ますが、分母の音は他の楽器に任せても良いんです。
また、弾き語りの場合は分母は無視して、分子のコードだけ演奏しても何とかなります。
オンコードの分母は、コードの構成音ではない場合もあります。
構成音以外の音をベース音にして、独特な浮遊感を与える狙いなどです・・・。
実際に聴いてみる
例として「カノン進行」を使って比べてみます。
音楽理論の基礎編で作った曲の、サビのコード進行です。
カノン進行は「C→G→Am→Em→F→C→F→G」でしたね。
今回はピアノで、コードは3つの音、それとは別にベースを1つの音にしました。
つまり同時に鳴っている音の数は、最大で4つです。
BPM=80、コードとベースのリズムはズラしています。
①普通のカノン進行
まずは基本的な形です。
転回せず、オンコードも使いません。
ベースはルートをなぞります。
②転回形のカノン進行
転回して、音の移動距離を少なくさせました。
ベースは同じくルートをなぞります。
③オンコードのカノン進行
オンコードを使用しました。
転回はしていません。
オンコードにより、ベースは階段状に上下しています。
音楽理論の基礎編で作った曲の、サビで使用したものと同じですね。
④転回系でオンコードのカノン進行
転回した上、オンコードも使用しました。
エモい。
この様な感じで、同じコード進行でも転回させたりオンコードを使ったりすると雰囲気が結構変わります。
曲の雰囲気に合わせて、どの様な響きが必要かを考えると良いと思います。
まとめ
コードの構成音の重ね方をボイシングといい、ボイシングを変えることを転回という。
コードの最低音を指定したい時はオンコードを使う。
C/Gの様に表記し、分母(右)が最低音、分子(左)がコードを表す。
美しい旋律のキモは、転回やオンコードによって音の移動量を少なくすること。
画像引用元
マッスルプラス
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