このページの内容
・曲中にキーを変えることを「転調」という
・転調先にしやすいのは、転調前のキーと似た音から音階を成している「近親調」である
・転調する直前に前フリをしておくとエモい
作曲する際は、まずは曲のキーを決めます。
しかし、もし曲の途中でキーを変えたくなった時は、どうすればいいでしょうか?
また、キーを変える事によって、曲の雰囲気はどの様に変わるのでしょうか?
転調とは?
まず前提として、音は12種類あります。
作曲する際は、その12種類の音の中から作曲で使う音を決めます。
(多くの場合は7つ)
その時に、作る曲の基準となる音を1つ決めれば、スケールに基づいて他の音が自動的に決まります。
その基準となる音を「キー(主音)」と言い、日本語では「調」と言います。
キーとスケールについての詳細はコチラ↓
このページの内容・キーを決めれば使える音が決まる・キーは「メジャー」か「マイナー」かで使える音が変わる・主なキーは24種類ある 前回で、音は12種類あることがわかりました。 [sitecard subtitle=前回はコチラ […]
基本的には、キーは1曲の中で変える必要はありません。
作曲する時に最初に決めたキーを、その曲が終わるまでずっと使います。
しかし、場面の転換などを劇的に表現したい時、曲の中でキーを変えることがあります。
この様な、曲の途中にキーが変わることを「転調」と言います。
転換する調(キー)で転調ですね。
転調するとキーが変わるということは、つまり曲の中で使える音が変わるということです。
必然的に曲の雰囲気が変わるので、場面の転換などを表現したいときに、転調すれば劇的な効果が得られます。
転調ってどんなイメージ?
しかし、転調によって使える音が変わるということは、いきなりスパッと転調すると違和感が生まれやすいです。
例えば日常会話でも、いきなり全く別の話題になったらビックリすると思います。
来年(2023年)ゼルダの伝説の新作が発売予定やねー。
せやな。
チワワってかわいいね。
いきなりどうした?
こうなりますね。
ゼルダからチワワに転調しました。
いきなり転調するとこういう感じです。
全く関係ない話題にいきなり転調したらビックリしますよね。
なのでビックリさせない様に、なるべく近い話題に転調した方が良いです。
来年(2023年)ゼルダの伝説の新作が発売予定やねー。
せやな。
ゼルダの新作もやりたいけど、カービィの新作も欲しいなぁ。
わかる。
ゼルダからカービィに転調しました。
ゼルダとカービィは同じ「ゲーム」というカテゴリー、ましてや「任天堂」という細かいカテゴリーまで共通しているので、会話としても違和感が少なくなります。
こんな感じで、もし転調する時はなるべく似ているキーに転調した方が違和感は少ないです。
あえて急に転調して何かを表現するのはOKです。
転調する先はどんなキーにするの?
では、似ているキーに転調するとして、具体的にどの様なキーに転調すれば良いのでしょうか?
違和感の少ない転調先は、主に8種類です。
Cメジャーキーで考えてみます。
①平行調(Aマイナーキー:Ⅵm)
②同主調(Cマイナーキー:Ⅰm)
③下属調(Fメジャーキー:Ⅳ)
④属調(Gメジャーキー:Ⅴ)
⑤下属調の平行調(Dマイナーキー:Ⅱm)
⑥下属調の同主調(Fマイナーキー:Ⅳm)
⑦属調の平行調(Eマイナーキー:Ⅲm)
⑧属調の同主調(Gマイナーキー:Ⅴm)
また、平行調、同主調、下属調、属調の4つはこれらの中でも特に近い調であり「近親調」や「関係調」などと呼ばれます。
近親調には割と転調しやすいので「転調したいけどどの調にしようか迷う・・・」という時は、近親調に転調すればいいと思います。
以下から、それぞれの調との関係性を確認してみましょう。
①平行調(Aマイナーキー:Ⅵm)
違う調でありながら同じ音階で作られている調のことです。
Cメジャーキーは「ドレミファソラシ」で作られていますが、Aマイナーキーも「ドレミファソラシ」で作られています。
作られている音階が同じなので、この平行調へは特に転調しやすいですが、雰囲気が変わりづらいので思ったほど劇的な効果が得られない可能性はあります。
また平行調は、転調前の調におけるⅥmのコードを、トニックの主要和音( Ⅰ )とした調のことです。
②同主調(Cマイナーキー:Ⅰm)
同じ調でありながらスケールが違う調のことです。
CメジャーキーはCを基準に「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」と並んだ音階の「メジャースケール」を使って作られた音階です。
これとは別に、Cを基準に「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」と並んだ音階の「マイナースケール(今回はナチュラルマイナースケール)」を使って作られたCマイナーキーがあります。
音階の最初の音(今回はC)を主音といい、主音が同じ調なので同主調といいます。
③下属調(Fメジャーキー:Ⅳ)
転調前の調におけるサブドミナントの主要和音(Ⅳ)を、トニックの主要和音( Ⅰ )とした調です。
Cメジャーキーのサブドミナントの主要和音(Ⅳ)はFコードなので、下属調はFメジャーキーです。
意外にも、転調前の調と下属調は、音階の音が1つ違うだけなので馴染みやすいです。
④属調(Gメジャーキー:Ⅴ)
転調前の調におけるドミナントの主要和音(Ⅴ)を、トニックの主要和音( Ⅰ )とした調です。
Cメジャーキーのドミナントの主要和音(Ⅴ)はGコードなので、属調はGメジャーキーです。
これも下属調と同様に、転調前の調と属調は音階の音が1つ違うだけなので馴染みやすいです。
⑤下属調の平行調(Dマイナーキー:Ⅱm)
下属調に対する平行調です。そのままですね。
構成している音階は下属調と同じなので、近親調ほどではないですが、転調は比較的簡単です。
⑥属調の平行調(Eマイナーキー:Ⅲm)
属調に対する平行調です。そのままですね。
これも構成している音階は属調と同じなので、近親調ほどではないですが、転調は比較的簡単です。
⑦下属調の同主調(Fマイナーキー:Ⅳm)
下属調に対する同主調です。そのままですね。
割と近い調であるとはいえ、転調先として選ばれることは少ないです。
⑧属調の同主調(Gマイナーキー:Ⅴm)
属調に対する同主調です。そのままですね。
これも割と近い調であるとはいえ、転調先として選ばれることは少ないです。
転調する方法は?
転調しやすいキーがわかったところで、実際に転調する方法を具体的に考えてみます。
まずは、それぞれのキーのダイアトニックコードを確認してみます。
これらのコードを使って、転調するコード進行を考えてみます。
ややこしくなるので、なるべくスリーコード(Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ)を基準に使います。
というわけでC→F→G→G(Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅴ)というコード進行を使います。
まずは転調なしですね。
するとこうなります。
C→F→G→G → C→F→G→G
→
C→F→G→G → C→F→G→G
C→F→G→Gを4回繰り返しただけのシンプルなコード進行です。
これを変えて転調してみます。
ここからは、C→F→G→Gで2回進行した後で、残りの2回を転調してみます。
場合によってはC→F→G→Gの部分もアレンジします。
普通に転調する
まずは何も工夫せずに転調してみます。
近親調なら、特に工夫がなくても割といけます。
平行調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→G
→
Am→Dm→Em→Am → Am→Dm→Em→Am
(平行調へ転調:KEY=C→Am)
同主調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→G
→
Cm→Fm→Gm→Cm → Cm→Fm→Gm→Cm
(同主調へ転調:KEY=C→Cm)
下属調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→G
→
F→B♭→C→F → F→B♭→C→F
(下属調へ転調:KEY=C→F)
属調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→G
→
G→C→D→G → G→C→D→G
(属調へ転調:KEY=C→G)
共通している音やコードを使う
近親調なら、おのずと共通している音やコードが多くなります。
現に、上で例として挙げた転調先のコード進行は、Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰの単純なコード進行ですが、共通している音やコードを起点とした転調になっています。
次は近親調以外の調へ転調することを考えてみます。
ということで下属調と属調の、それぞれ平行調と同主調に転調してみます。
下属調と属調の同主調はそれぞれFmとGmキーですが、転調前のCメジャーキーにはどちらのコードもありません。
なので、それぞれのキーの中でCメジャーキーと共通しているコードや、似ているコードを使ってなるべくヌルっと転調してみます。
下属調の平行調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→G
→
Dm→Gm→Am→Dm → Dm→Gm→Am→Dm
(Dmを経由して下属調の平行調へ転調:KEY=C→Dm)
属調の平行調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→G
→
Em→Am→Bm→Em → Em→Am→Bm→Em
(Emを経由して属調の平行調へ転調:KEY=C→Em)
下属調の同主調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→C→F
→
Fm→B♭m→Cm→Fm → Fm→B♭m→Cm→Fm
(FからFmへ流れを作って下属調の同主調へ転調:KEY=C→Fm)
属調の同主調へ転調してみる
C→F→G→G → C→F→G→G
→
Dm→Gm→Cm→Dm→Gm → Dm→Gm→Cm→Dm→Gm
(Dmを経由して属調の同主調へ転調:KEY=C→Gm)
ドミナントモーションを使う
転調先のキーのコードに対してドミナントモーションを持つコードを前に置いておき、転調先のコードに進む力を強める方法です。
先に置くドミナントモーションのコードも、単純に置くのではなく工夫した方がエモいです。
例えばCメジャーキーからGメジャーキーに転調する時にドミナントモーションを使うとします。
Gメジャーキーへのドミナントモーションは、GメジャーキーにおけるⅤ→ⅠであるD→Gが簡単です。
しかし、CメジャーキーにDコードはないので、似ているDmをDの前に置いてみます。
ついでにセブンスコードも使ってみたりします。
すると、こうなります↓
C→F→G→G → C→F→G→Dm7→D7
→
G→C→D→G → G→C→D→G
(D7→Gのドミナントモーションで属調へ転調:KEY=C→G)
こんな感じのアレンジを色々組合わせたりして、他にも遊んでみます。
C→F→G→G → C→F→G7→Gm7
→
Cm→Fm→Gm→Cm → Cm→Fm→Gm→Cm
(G7→Gm7→Cmで同主調へ転調:KEY=C→Cm)
C→F→G→G → C→F→G7→Bm7♭5→Bm7
→
Em→Am→Bm→Em → Em→Am→Bm→Em
(Bm7♭5→Bm7→Emで属調の平行調へ転調:KEY=C→Em)
割と色々出来ますね。
転調は結構自由度が高くて楽しいです。
その他にも、同主調の平行調や、平行調の同主調に転調することなども可能ですし、全然関係ない調に転調するのも不可能ではないです。
いきなり転調するのもいいですが、転調するまでにドミナントモーションなどの前フリをしておくとエモい感じが出やすいです。
こんなに効果的な転調にも注意点がありまして、曲が続く場合は元のキーに戻ることも忘れてはいけません。
転調した時と同じ様に考えれば戻れると思います。
ラストサビを盛り上げる移調
邦楽では、たまに最後のサビでキーが1つ上がる曲があります。
これも転調の一種で、全体的に音の高さが変わるので調がそのまま上に移動した雰囲気になります。
この様な、全体的な音の高さを丸ごと変える転調を「移調」といいます。
C→F→G→G → C→F→G→G#
→
C#→F#→G#→G#→C#→F#→G#→G#
(KEY=C→C#なので+1、かつ全体的に音の高さも+1)
ただの繰り返し部分を盛り上げる仕組みに変えることが出来るので、汎用性は高いと思います。
まとめ
曲中にキーを変えることを「転調」という
転調先にしやすいのは、転調前のキーと似た音から音階を成している「近親調」である
転調する直前に、転調先のコードに似たコードを置いておいたり、ドミナントモーションなどの前フリをしておくとなおエモき
画像引用元
マッスルプラス
https://freephotomuscle.com
目からマッチョを補給して筋トレのモチベーションを上げています。
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