【ズボラ音楽理論】セカンダリードミナント~他のキーから借りたドミナント~【作編曲発展】

このページの内容
・あるダイアトニックコードをトニックの主要和音と仮定した時、それに対するドミナントの主要和音をセカンダリードミナントという。
・セカンダリードミナントはⅦm♭5以外のダイアトニックコードに存在する
・セカンダリードミナントは別のキーでの「Ⅴ→Ⅰ」なので、それを起点にツーファイブワンを作ることも出来る。

コード進行を作る時、ドミナントの主要和音からトニックの主要和音に進行する「ドミナントモーション」を利用すれば美しいコード進行が作りやすいです。

今回はドミナントモーションを他のキーから借りてくる「セカンダリードミナント」をご紹介します。

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セカンダリードミナントとは?

まず、コード進行においてドミナントの主要和音(Ⅴ)からトニックの主要和音( Ⅰ )に進行するといい感じになる働きを「ドミナントモーション」といいます。

ドミナントモーションについての詳細はコチラ↓

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要するに、そのキーにおける「Ⅴ→Ⅰ」のコード進行のことです。

Cメジャーキーにおいては、G→Cのことですね。

 G→C

ここで、キーはメジャーが12種類、マイナーが12種類の合計24種類あることを思い出してください。

キーについての詳細はコチラ↓

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G→Cという進行において、ドミナントモーションを発生させるきっかけとなるGコードをトニックの主要和音( Ⅰ )と仮定した時、そのGコードに対するドミナントの主要和音(Ⅴ)があるはずです。

考えてみると、Gコードがトニックの主要和音( Ⅰ )となるキーはGメジャーキーです。

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そしてGメジャーキーにおけるドミナントの主要和音(Ⅴ)はDコードです。

という事は、Gメジャーキーにおけるドミナントモーション(Ⅴ→Ⅰ)は「D→G」となります。

 D→G

本題に戻り、この「D→G」というコード進行を、Cメジャーキーに持ってきてみましょう。

例えば、C→G→Cというコード進行があったとします。

 C→G→C

この中のGコードの前に、さっきのDコードを持ってきます。

するとC→D→G→Cとなります。

 C→D→G→C

ディグリーネームで書くと「Ⅰ→Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ」ですね。
(DmはⅡmなので、DはⅡです。)

この様に、キーに存在するダイアトニックコードの1つをトニックの主要和音と仮定し、それに対するドミナントの主要和音を「セカンダリードミナント」と言います。

今回使用したDコードは、本来Cメジャーキーに存在しないコードなので、メロディを乗せる時は響きが悪くならないか気をつけてください。

また、ドミナントモーションを使うので、セブンスコードにした方がより働きが強くなります。

というか、セカンダリードミナントは三和音で作るよりセブンスコードを混ぜる事の方が多いです。

さっきのC→D→G→Cというコード進行にセブンスコードを混ぜて、C→D7→G7→Cにしました。

 C→D7→G7→C

ついでにちょっと転回させてオンコードを使い、形を整えてみます。

するとC/G→D7/A→G7/B→Cとなりました。

 C/G→D7/A→G7/B→C

オンコードでベースを階段状にしてみました。
これもオシャレですね。

他のセカンダリードミナントは?

この「セカンダリードミナント」は、メジャーキーにおいてはⅦm♭5以外のコードに存在します。

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つまり、Cメジャーキーで言えば、コード進行の中にBm♭5以外のコードがあれば、その前にセカンダリードミナントのコードを挿入してアレンジできるというわけです。

しかも、セカンダリードミナントのコードはそれぞれⅤ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲですね。

偶然にも、キーの中で使えるダイアトニックコードから「m(マイナー)」を取ったコード、要するにルートが同じメジャーコードが、どれかのコードのセカンダリードミナントになっています。

不思議ですねぇ。

特に、ドミナントの主要和音に対するセカンダリードミナントを「ドッペルドミナント」「ダブルドミナント」「二重ドミナント」などと言います。
ドッペルドミナントは、ディグリーネームでは「Ⅱ」になります。
最初に例に出したDコードは、Cメジャーキーにおけるドッペルドミナントですね。

僕は「ドッペルドミナント」派です。
一番かっこいいので(重要)

ツーファイブワンとの連携

セカンダリードミナントを考えてみると、要するに別のキーの「Ⅴ→Ⅰ」を借りてきているということです。

「Ⅴ→Ⅰ」があるということは、この前にⅡmを持ってくれば「ツーファイブワン」を作ることが出来ます。

ツーファイブワンについてはコチラ↓

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Cメジャーキーで考えてみますが、まずはGメジャーキーのツーファイブワンを考えてみます。

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Gメジャーキーにおけるツーファイブワンは「Am→D→G」ですね。

 Am→D→G

Cメジャーキーにて、C→G→Cというコード進行があるとすれば、その進行に「セカンダリードミナントとツーファイブワンの連携技」である「Am→D→G」を挿入することが出来ます。

するとコード進行はC→Am→D→G→Cとなります。

 C→Am→D→G→C

ついでにセブンスコードやオンコードを使います。

C/G→Am7→D7/A→G7/B→Cとなりました。

 C/G→Am7→D7/A→G7/B→C

この様に、セカンダリードミナントが別のキーにおける「Ⅴ→Ⅰ」であることを利用して、「Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ」のツーファイブワンを作ることも出来ます。

もちろん、キー内に存在するどのコードでもこのツーファイブワンを作れます。Ⅶm♭5以外。

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今回みたいに、Ⅶm♭5以外のコードがあればセカンダリードミナントとツーファイブを組み合わせて色々なアレンジが出来ます。

「Ⅶm♭5以外のコード」と言ってますが、つまりそのキーにおけるダイアトニックコードのほぼ全てですね。

アレンジに困ったら、とりあえず狙ってみるのも良いかもです。

まとめ

あるダイアトニックコードをトニックの主要和音と仮定した時、それに対するドミナントの主要和音をセカンダリードミナントという。

セカンダリードミナントはⅦm♭5以外のダイアトニックコードに存在する

セカンダリードミナントは別のキーでの「Ⅴ→Ⅰ」なので、それを起点にツーファイブワンを作ることも出来る。

個人的な見解

マイナーキーでのツーファイブを見てみます。

今回は使う音がCメジャーキーと同じのAマイナーキーです。

とはいえ、Cメジャーキーのコピペです

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セカンダリードミナントは「特定のコードに対するドミナント」なので、使えるコードが同じであれば同じセカンダリードミナントになります。

なので、Aマイナーキーの各コードのセカンダリードミナントは、Cメジャーキーと同じっぽいですね。

Cメジャーキーと同じということは、セカンダリードミナントを使いすぎるとAマイナーキーの曲なのにCメジャーキーっぽい曲になってしまう可能性がありますね。

マイナーっぽい雰囲気の曲にしたい場合は、あまり使いすぎない様にした方が良いかもです。

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