こんな人にオススメ
・自分で作った曲が微妙にショボいと感じた人
・何か音が足りない気がするけど、何を足して良いかわからない人
・既存の曲を分析しやすくなりたい人
作曲した後は編曲をするのですが、せっかく編曲したのに「なんかショボいな・・・」と感じることがあります。
そんな時は一度冷静になって、音楽に必要な”音の種類”と”それらの鳴らし方”を考えてみます。
なお、今回の記事は現時点での僕の個人的な解釈です。
もし参考になれば幸いです。
音程を伴う要素(コード、メロディ)
まずは音程を伴う楽器です。
主に打楽器以外は大体こっちですね。
コード(和音)
曲全体の雰囲気を司るのがこのコード(和音)です。
コードの鳴らし方は主に「刻み」「白玉」の2種類があります。
刻みコード
コードを4分音符や8分音符、及びそれ以上細かい間隔で小刻みに入れるヤツです。
コードとしての要素のみならず、リズム的な要素も少し持っています。
なので、これ単品でも最低限の音楽としては成り立ちます。
ギターやピアノの弾き語りでの伴奏はこれです。
白玉コード(または単音)
コード(またはその構成音)を、2分音符や全音符で鳴らすヤツです。
曲の厚みを出す効果がありますが、リズム的な要素はほとんどありません。
しかし、音の数が少ない気がする時は、割と積極的に入れても良さげです。
使用する楽器はストリングス系やシンセサイザーなど、音を長く出せる楽器です。
人間の声ですることもありますね。
音量は大きすぎるとメロディ等の音が聴こえにくくなるので、迫力が出る範囲で調整します。
ベース
演奏する楽器の中で一番低い音を出す楽器のことです。
コードの刻みや白玉を変えなくても、ベースの音色やリズムを変えるだけで、結構雰囲気が変わります。
鳴らす音は、基本的にはコードのルートで良いです。
それ以外だとコードの構成音がベターです。
コードの構成音を使って階段状に登る、または降りるラインを作ると美しいです。
オンコードの分母を操作する感じです。
使用する楽器は、僕はエレキベースやコントラバス等の弦楽器をよく使います。
シンセサイザー系や吹奏楽器も良いと思いますね。
そして、ベースも「刻み」「白玉」の2種類で考えます。
刻みベース
ベースを4分音符や8分音符、及びそれ以上細かい間隔で小刻みに入れるヤツです。
ベースの刻みは、コード以上にリズム的な要素が強いです。
一番基本的なものは、コードのルートだけを刻む事です。
そうすれば曲として、どっしりとした迫力を出すことが出来ます。
また、もしノリノリの感じを出したければ、結構ベースを動かしてみたり、音を短く切ってみたりすると良いでしょう。
白玉ベース
ベースを、2分音符や全音符で鳴らすヤツです。
「ベースがないと寂しい・・・でも、刻むとちょっと迫力がありすぎる・・・」という時に使えます。
そんな感じで、盛り上げすぎない様にしたい時に使うと良いですね。
メロディ
メロディは「主メロディ」「ハモリ」「ユニゾン」の3種類で考えます。
主メロディ
言わずもがな、メインです。
歌モノだと声ですね。
所謂ボカロ系だと、ソフト音源が担当します。
インスト系だと、色々な楽器で出来ます。
音の立ち上がりが早く、輪郭もはっきりとした感じの楽器が担当しやすいです。
ピアノやギター等の弦楽器、またはトランペットなどの立ち上がりの良さげな吹奏楽器が良いと思います。音源にもよりますが。
ハモリ
主メロディを彩るためのメロディです。
基本的にはメロディの三度下または上を使います。
Cメジャーキーにおいては、主メロディがドの時は、ハモリはドより低いラか、ドより高いミになります。
最近は四度下(五度上を1オクターブ下げた音)がマイブームです。
Cメジャーキーにおいては、主メロディがドの時は、ハモリは低いソになります。
注意点としては、主メロディより音量を小さめにします。
また、少しだけパンを振って主メロディから音をズラしても良いです。
あくまでも主メロディを際立たせるためのモノなので、主張しすぎると良くないからです。
ユニゾン
主メロディと同じ音(またはオクターブ違いの音)を同じタイミングで出すヤツです。
インスト系だと、主メロディとは違う楽器にするのも良いと思います。
メロディの繰り返しが多いときなどに、聞き手の飽きを防ぐために入れると効果的です。
僕はよく使います。
アルペジオ
アルペジオとは、コードを同時に鳴らすのではなく1つずつ順番に鳴らすことです。
厳密には、低い音から順に高く、または高い音から順に低く鳴らす事だそうです。
ですが、僕は広義的に捉えて「曲の装飾的にコードの構成音を鳴らすこと」としています。
つまり主メロディではない単音のメロディをアルペジオと解釈しています。
(THE ズボラ音楽理論)
また、このサイトでも自分の曲の解説をしていますが、それに「装飾」と書いているものが大体これです。
これは結構どんな楽器でも大丈夫っぽいです。
ハープやマリンバ、グロッケンが好きです。
アルペジオを入れると曲が派手になりますが、入れすぎると散らかるので注意です。
また、アルペジオの音量はあまり大きくしなくても良いです。
メロディの邪魔をしないくらいに、かつ何となく聴こえるくらいが良いと思います。
音程を伴わない要素(パーカッション)
主に曲のリズムを作る打楽器たちです。
音程的な要素は少ないので、コードやメロディとは分けて考えます。
厳密には、特に太鼓系の打楽器にはチューニングによって音の高さを調整するものがあります。
例えば、ドラムセットのスネアドラム、オーケストラなどでよく使われるティンパニ等です。
また、パーカッションは主に「太鼓系」「金属系」の2種類で考えています。
太鼓系
主に、筒状のものに革を張った打楽器たちです。
パーカッションではメインで使います。
低音の太鼓
ドラムセットのバスドラム、大太鼓、カホン等の、「ドン」「ドーン」的な、低くて迫力のある音です。
ベースのとの組み合わせで、曲のリズムやノリを作ります。
中音の太鼓
ドラムセットのタムタム、その他多くの太鼓が大体これです。
「トン」「トコ」的な音ですね。
バンド系では主にフィルで装飾的に使われる事が多いですが、民族的な曲を作る場合はこれでリズムを刻むと良い感じです。
高音の太鼓
ドラムセットのスネアドラム、カホン等の「タン」「タッ」的な、高くてよく目立つ音です。
曲のリズムにアクセントとして使います。
もし使いすぎると、アクセントとしての役割が薄れて、ジャンルがマーチっぽくなります。
金属系
主に、金属を加工して出来ている楽器たちです。
太鼓の装飾としてリズムを刻むか、曲中のアクセントとして使います。
刻み金属系
ドラムセットのハイハットシンバルやライドシンバル、タンバリンについている小さいシンバルや鈴等のことです。
「ツッツッ」「シャンシャン」的な音ですね。
4分音符や8分音符で細かくリズムを刻むと、曲の拍を意識しやすくなり、聞き手が曲のリズムを掴みやすくなります。
音は大きすぎると耳がキンキンするので、リズムが分かりやすくなる程度で良いと思います。
アクセント金属系
ドラムセットのクラッシュシンバルなどの、よく目立つ金属音がする楽器です。
「シャーン」「ジャーン」的な音ですね。
その他、アクセント的な効果音もここに含みます。
頻繁に使うとうるさいので、特に理由がなければアクセントとして使います。
AメロからBメロへの移り変わりなど、場面の転換が起こる時に使うと良いです。
フィル
楽器ではないですが、フィルも重要です。
フィルとは、パーカッションのリズムを1〜2小節くらいの間だけ変えて盛り上げることです。
場面の転換の前に入れると良いです。
フィルの締めは、クラッシュシンバルなどのアクセント金属系を鳴らせばキッチリ締まりやすいです。
詳しくは以下のページに具体的な例を含めてご紹介しています。
このページの内容・ドラムの簡単なアレンジ方法は「叩くパターンの変更」と「フィルイン」・ドラムのアレンジによる雰囲気の違いを確かめる 前回の作曲基礎(実践編)にて、曲が完成しました↓ [sitecard subtitle[…]
では、次からは実際に曲を作って確認してみます・・・。
実際に作ってみる
今回確認した要素を一つずつ確認しながら、BGM的な曲を8小節だけ作ります。
作る曲はKEY=C、BPM=120、4拍子にしました。
また、コード進行はCだけで作ります。
作ったものがこれです。
今回確認した要素を全部入れた結果ちょっと散らかっちゃいましたが、ちゃんと作ればAudiostockの審査に合格するくらいのものが出来る気がします(多分)。
では、一つ一つの要素を確認してみましょう。
①刻みコード
まずはコードの刻みです。
このギターは僕が弾いてみました。下手くそ
聴いて分かる通り、コードはCしか弾いていません。
これならギター初心者でも弾けますね。
使用楽器:Bacchus GS-001
ほぼ同じスペックのやつ(恐らく後継品)はコチラ↓
インターフェイス:ZOOM G2.1Nu
②白玉コード
使用音源:Full Strings(Logic pro内蔵音源)
次に白玉コードです。
鳴っている音はドミソドのCコードです。
ただの白玉だけでは寂しいと思ったので、一番高い音を移動させています。
ド(全音符)→ソ(2分音符)→ミ(2分音符)ですね。
③ベース
使用音源:Upright Ballad Bass(Logic pro内蔵音源)
最初の4小節は白玉、残りの4小節は刻んでみました。
Cコードに合わせて、ドミソしか使っていません。
各小節の1拍目の音はドにしています。
そうすれば、その後はある程度動かしてみても違和感は少なめです。
④主メロディ
使用音源:Celtic Tin Whistle(Logic pro内蔵音源)
メインとなるメロディです。
4小節分のメロディを繰り返しています。
メロディは、各小節の1拍目や、長く伸ばす音をコードの構成音(今回はドかミかソ)にすれば、あとは動かしてみても意外と何とかなります。
また、KEY=Cなので、メロディの終わりはドにしました。
メロディ作りについて、詳しくは以下のページをご参考ください。
このページの内容・メロディの作り方を把握する・作った伴奏にメロディを追加してみる 前回、完成したコード進行にベースとドラムを追加できました。 [sitecard subtitle=前回はコチラ url=https://[…]
⑤ハモリ
使用音源:Celtic Tin Whistle(Logic pro内蔵音源)
主メロディに対するハモリです。
最初の4小節はスルーして、5小節目から入ります。
楽器は主メロディと同じですが、出す音の高さが違います。
今回は主メロディの四度下にしました。
しかし、四度下でハモリを入れる場合は、主メロディがシ(Ⅶ:導音)の時、ハモリがファになってしまいます。
シとファは三全音の関係で、不協和音なので回避します。
具体的には、ハモリをミ(五度下)にしました。
すると、今度はハモリの次の音もミなので、同じ音が連続してしまいます。
なので、次の音は一度上げてファにしました。
このときのメロディはラなので、三度下になりますね。
残りの主メロディにはシが出てこないので、普通に四度下にします。
三全音やハモリの作り方については、以下の記事もご参考ください。
このページの内容・楽器を増やして、音を少し豪華にする・よくある不協和「短二度」「三全音」・コーラス(ハモリ)の追加・編曲前後の聴き比べ 前回までで、ドラムとベースが完成しました。 [sitecard subtitle=[…]
三全音については、以下の記事もご参考ください。
このページの内容・度数は「完全」「長」「短」「増」「減」をつけて詳細を表記する・2つの音の関係は、よく馴染む完全協和音程、わりと馴染む不完全協和音程、あまり馴染まない不協和音程の3種類 キーの中で使える音同士の幅を度数といいます。度[…]
⑥ユニゾン
使用音源:Indian Shehnai Oboe(Logic pro内蔵音源)
主メロディと同じ音を違う楽器で入れてみます。
入るタイミングはハモリと一緒にしました。
繰り返し部分の飽きを防ぐ狙いです。
⑦アルペジオ
使用音源:1.Glockenspiel 2.Marimba(Logic pro内蔵音源)
アルペジオは2種類足してみます。
1つはグロッケン、もう一つはマリンバです。
2つのアルペジオは違うリズムにして、少しだけ左右にパンを振り分けます。
そうすれば少しだけ曲に立体感が出ます。
⑧低音の太鼓
使用音源:Coffee Shop - Cajon Bass(Logic pro内蔵音源)
ドラムセットのバスドラムでは音が強すぎると思ったので、カホンにしました。
カホンは結構汎用性が高くて、よく使います。
⑨中音の太鼓
使用音源:Coffee Shop - Conga High Conga Low(Logic pro内蔵音源)
アコースティックな曲なので、中音の太鼓も使ってみます。
2つのコンガを使って、楽しそうな雰囲気を目指しました。
⑩高音の太鼓
使用音源:Coffee Shop - Cajon Snare(Logic pro内蔵音源)
これもドラムセットのスネアだと強すぎると思ったので、カホンにしました。
カホンは叩き方によって色々な音が出る楽器です。
いつか実際に欲しい・・・
⑪刻み金属系
使用音源:Coffee Shop - Tambourine Dimple(Logic pro内蔵音源)
これもドラムセットのハイハットでは強すぎると思ったので、タンバリンです。
タンバリンも、小さいシンバルがいっぱいついているので、実質ドラムセットです(違う)
⑫アクセント金属系
使用音源:Latin Kit - Vibraslap(Logic pro内蔵音源)
関西人にとっては、吉本新喜劇の川端座長が登場した時に鳴る効果音でおなじみの、ビブラスラップです。
「カ〜〜〜ッ」っていう音のやつですね。
聞いたことがある人は多いかもです。
この音を、5小節目の1拍目に入れます。
繰り返しの始めなので、小さいですが場面の転換と捉えて、それを表現するために入れます。
また、繰り返しによる聞き手の飽きを防ぐ狙いもあります。
改めて聴いてみる
これで、12種類の役割を持つ音たちが揃いました。
※8小節だけという短い曲なので、フィルは入れていません。
これをすべて組み合わせて、簡単にミックスとマスタリングをしたものがコレです。
(上にも載せていた音源です。)
ちなみに、ミックスはNeutron3、マスタリングはOzone9を使って、AIにおまかせしました。
それなりに値段が高いのですが、セットで購入した方が非常に安いのでオススメです。
AIにミックスとマスタリングをおまかせする方法(Neutoron、Ozone)については、
コチラをご参考ください
こんな人におすすめ・ミックスとマスタリングがわからない作曲初心者(僕)・ミックスとマスタリングに時間をかけたくない人(僕)・簡単に制作楽曲のクオリティを上げたい人(僕)・僕 作曲や編曲が完了したとしても、まだ「音楽」としては完成して[…]
ちなみに、今回は12種類の要素を使いましたが、すべての要素を使わなければいけないということはないです。
曲がショボい時は足りない要素を足してみたり、音が多すぎる時はどの要素を引いてみるかを考えるための参考になればいいなと思います。
あと、NeutronとOzoneのAIにミックスとマスタリングをおまかせする方法は非常にオススメです。
ミックスやマスタリングの技術があまりない人は、それだけで曲のクオリティがワンランク上がります。
まとめ
編曲の時に考えたい音楽の要素は
①刻みコード
②白玉コード
③刻みベース
④白玉ベース
⑤主メロディ
⑥ハモリ
⑦ユニゾン
⑧アルペジオ
⑨低音の太鼓
⑩中音の太鼓
⑪高音の太鼓
⑫刻み金属系
⑬アクセント金属系
⑭フィル
※僕の音楽技術の上達によって解釈が変わる場合があります・・・。
画像引用元
マッスルプラス
https://freephotomuscle.com
目からマッチョを補給して筋トレのモチベーションを上げています。
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