ちょっと変わったテニスラケットを買いました!
今回購入したのは、ウィルソンの「BURN 100S V6」です。

このラケットはパッと見は普通の100平方インチのラケットなのですが、最大の特徴が「18×16」というかなり珍しいストリングパターンです。
いわゆる「Sラケット(通称Sラケ)」と呼ばれるタイプで、ウィルソンが「Spin Effect」として展開してきたスピン特化型のストリングパターンです。

この記事では、そんなSラケットである「BURN 100S V6」をレビューしてみます。
BURN 100S V6を実際に見てみる
まずはBURN 100S V6の特徴を簡単に見てみます。
◆BURN 100S V6の主なスペック◆
フェイス面積:100平方インチ
重量:300g
ストリングパターン:18×16
全長:27インチ

100平方インチ・300gという数字だけを見ると、いわゆる黄金スペックと呼ばれる標準的なラケットスペックですね。
しかしBURN 100S V6最大の特徴は、縦18×横16というストリングパターンです。
そもそもSラケ「Spin Effect」って何?
一般的なテニスラケットでは、縦16×横19や縦18×横20といったストリングパターンが採用されています。
ところがBURN 100Sは縦18×横16であり、縦のほうが本数が多いんです。
クロスストリング(横糸)の本数を減らすことで、メインストリング(縦糸)が横方向に動きやすくなり、スナップバックによるスピン性能を高めるという考え方です。
2014年にWashidaらが行った研究では、同じ16本のメインに対して16×19と16×12のストリングパターンを比較したところ、クロスが少ない16×12の方がメインストリングの横方向への変位が大きく、反発後のボールスピンも有意に増加しました。
つまり、クロスを減らしてメインを動きやすくするという考え方自体には、ちゃんと物理的な根拠があります。
そしてウィルソンは、「メインストリングよりクロスストリングが少ないラケット」について実際に特許を取得しています。
特許資料内の実打試験でも、16×18のSteam 99が平均1394.9rpmだったのに対し、16×15のSteam 99Sでは1501.7rpmとなっており、約7.7%スピン量が増加しています。
つまり横が少ないストリングパターンにより、スピン量が向上するという研究結果があるようです。
ウィルソンはこの思想を「Spin Effect」とし、それを用いたラケットは「〜S」という名称で展開してきました。

現在ではかなり珍しくなったストリングパターンですが、BURN 100Sのほか、BLADE 98Sなどにも18×16が残っています。
実重量は300gぴったりだった
せっかくなので、ストリングを張る前に実重量を測ってみました。

公称重量も300gなので、今回届いた個体は公称値ぴったりでした。
表面はサラサラ系。純正グリップも結構良い
フレーム表面は、ツルツルというよりサラサラしたマット系の質感です。

元グリップはウレタンですが、クッション性がしっかりしており、素手で握ってもグリップ感は結構良かったです。

オーバーグリップ無しでも普通に使えそうなグリップ感です。
デビルスピン 1.25mmを45ポンドで張る
今回のストリングは、トアルソンの「デビルスピン 1.25mm」です。

テンションは45ポンド。
BURN 100Sのスピン性能を試すので、ストリングもスピン系にしてみました。
使用した長さは、メインが6.5m、クロスが5.5mの合計12mです。
クロスは5mでもいけるかもです。
デビルスピンは引っかかりの強いストリングで、スピン性能が高いので最近のお気に入りです。
オーバーグリップはダンロップ「U-SWEAT」を巻きました。
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マス目の粗さを測ってみた
ただ、ひとつ疑問に思いました。
18×16って、見た目がどう変わるの?

ということで、測ります。
BURN 100Sのストリングのマス目を実際に測ってみる
比較するのは、現在私が使っているダンロップ SX300 LITEと、以前から所有しているREVO CV3.0です。
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ストリングパターンはそれぞれ、
REVO CV3.0:16×19
SX300 LITE:16×18
BURN 100S:18×16
となっています。
今回は定規で各ストリング間の隙間を測りました。
定規による簡易測定なので、あくまでも大まかな参考値ですけどね。
| REVO CV3.0 | SX300 LITE | BURN 100S | |
|---|---|---|---|
| パターン | 16×19 | 16×18 | 18×16 |
| 横方向の平均マス幅 | 約12.9mm | 約14.1mm | 約12.3mm |
| 縦方向の平均マス幅 | 約13.4mm | 約14.9mm | 約17.3mm |
| 平均マス面積 | 約173mm² | 約210mm² | 約213mm² |
| 縦横比 | 約1.04 | 約1.06 | 約1.41 |
SX300 LITEとBURN 100S、平均のマス面積ほぼ一緒です。
マスの大きさではなく「形」が全然違う
平均マス面積を見ると、SX300 LITEが約210mm²、BURN 100Sが約213mm²なので、ほぼ同じです。
しかし、マス目の形が全く違いました。

これがSX300LITEで、比較的正方形に近いマス目です。

これがBURN 100Sで、明らかに縦長の長方形になっています。
SX300 LITEの平均値はおおよそ横14.1mm×縦14.9mm。
BURN 100Sはおおよそ横12.3mm×縦17.3mm。
つまり、Sラケはマス目そのものが大きいのではなく、マス目を縦長にしてスナップバックの可動域を広げているということでしょうか。
実際にBURN 100S V6を打ってみた
理屈は大体わかったので、実際にコートに持っていって打ちましょう。

打感|フレームは硬く面は柔らかい
まず最初に感じたのが、フレーム自体の剛性感です。
フレームだけに着目すると結構硬いですが、ストリングのたわみによって柔らかくも感じます。
私の感覚では、硬いフレームと柔らかいストリングがそれぞれ各自の役割を果たしているような打感でした。
硬いフレームがストリングのエネルギーをパワーとスピンに変えているような感覚があります。
ストローク|高弾道超スピン
ストロークは、単純にめちゃくちゃ楽しいです。
体感としては、打つ瞬間のイメージよりパワーとスピンと弾道の高さが体感1.2倍くらいになったような感覚ですね。
特にスピン性能が非常に高く、自分も相手も「これはアウトしたな・・・」と思ったボールが普通にコートへ入ることが一度や二度ではありませんでした。
私のスタイルである高弾道のグリグリスピンとは、かなり相性が良いですね。
しかも単純に回転だけが増える感じではなく、ボールの前方向への推進力も大きいです。
そのため、高く跳ねるだけの遅いボールではなく、スピンと球威を両立しやすい印象です。
逆にラケット自体にパワーがあるので、当てるだけで返そうとすると思った以上に飛んでしまう場面もありました。
ボレー|繊細なタッチが求められる
個人的に少し難しかったのがボレーで、理由は単純に思ったより飛ぶからです。
私はソフトテニス出身ということもあり、ボレーでも結構ラケットを振ってしまうタイプです。
これをBURN 100Sでやると、予想以上にボールが飛んでいってしまう場面がありました。
ボレーを振っちゃう人は要注意。
強く飛ばす能力は高いので、繊細に面を作って扱う必要があると思います。
サーブ|回転系サーブが楽しい
サーブはかなり良く、特にスピンサーブがよく跳ねます。
ストロークと同じくスピン量を出しやすいうえに、300gのラケットらしい球威もあります。
そのため、回転をかけて安全に入れるだけではなく、回転系サーブそのもので攻めやすい印象でした。
かなりスピンがかかるので、スピンサーブが打ちやすいです。
逆にフラット気味に当てすぎると、飛びが良いぶんオーバーしやすいですね。
BURN 100S(18×16)とSX300 LITE(16×18)を比較

ここからは、私が普段使っているSX300 LITEと比較してみます。
どちらも100平方インチで18×16と16×18の広いストリングパターンなので、スピン性能を強く意識したラケットです。
SX300 LITEを買った理由の一つが、ストリングパターンが広いからです。
SX300の他のモデルは16×19ですが、LITEだけ16×18なんです。
重量はカタログ値で270gと軽量ですし、ストリング張替えタイミングも違うので厳密な比較ではありませんが、オープンパターンのスピンラケットとして参考まで。
打感|一体型のSX、分業型のBURN
SX300 LITEは、フレームとストリングが一体となってボールを受け止めるような感覚があります。
全体的に柔らかいのですが、その中にちゃんと芯がある。
対してBURN 100Sは、前述の通りフレームとストリングが別々に働いている感覚です。
SX300 LITE
→フレーム+ストリングが一体となって柔らかくボールを受ける
BURN 100S
→硬いフレーム+大きくたわむストリング面が別々に仕事をする
かなり方向性が違いますね。
スピン量は意外と同等?でも球質はBURNの方が鋭い
純粋なスピン量だけなら、SX300 LITEもBURN 100Sに負けていないように感じました。
SX300 LITEは270gと軽量なので、スイングスピードを上げやすく、強烈なスピンをかけられるんですよね。
ただし軽量なので、回転量は多くても前方向への推進力が少し薄いので、ボールが浅くなって相手のチャンスボールになってしまうことがあります。
一方、BURN 100Sは同等クラスの回転量を感じながら、ボールのスピードと深さが残ります。
同じところにワンバウンドしても、BURNのほうがノビがありツーバウンドが奥になるイメージですね。
感覚的には、
SX300 LITE=スイングスピードで回転がかけやすいラケット
BURN 100S=ラケットが持つパワーが回転に変換されやすいラケット
という感じですかね。
ベースラインでストローク戦をするなら、個人的にはBURN 100Sの方が相手を押していきやすいと思いました。
コントロールと取り回しはSX300 LITE
一方、コントロール性能についてはSX300 LITEの方が扱いやすいと感じます。
どちらも特段コントロール性能が高いわけではありませんが、SX300 LITEは軽いので取り回しがいいのです。
ネットへ出て細かくラケットを操作したい場合や、長時間プレーしたい場合はSX300 LITEの方が楽ですね。
BURN100SとSX300LITEの比較表
| SX300 LITE | BURN 100S | |
|---|---|---|
| スピン量 | ◎ | ◎ |
| 球威 | ○ | ◎ |
| 高弾道 | ◎ | ◎ |
| 深さの出しやすさ | ○ | ◎ |
| コントロール | ◯ | ○ |
| 取り回し | ◎ | ○ |
| ボレー | ◎ | ○ |
| 回転系サーブ | ◯ | ◎ |
| 長時間プレー | ◎ | ○ |
あくまでも私個人の感覚による比較ですが、こんな感じですね。
ただ、同じサークルのSX300LITEユーザーにBURNを打ってもらったところ、
自分には合わない・・・。回転がかかりすぎて飛ばない。
と言ってました。
やはり、向き不向きはあるラケットのようですね。
Sラケのデメリットはストリングの消耗か
ここまでスピン性能について褒めまくりましたが、当然良いことばかりではありません。
スナップバックで回転がかかりやすいぶん、ストリングの消耗は早いと思います。
約2時間ほど打った後、ストリングを見てみると・・・。

結構な溝ができてる・・・。
メインストリングには、交点部分に目視できるノッチが発生していました。
そのうえBURN 100Sは18×16でメインストリングが大きく動くので、一般的な16×19などと比べてストリング消耗が早くなる可能性は高そうです。
そもそもデビルスピン自体が結構削れやすいストリングではありますけども、それよりローテンションで張ったSX300LITEよりは明らかに摩耗が早いように感じました。
特に、
- ナイロンストリング
- 1.20mm以下などの細ゲージ
- もともとストリングをよく切るハードヒッター
あたりは、かなり消耗が早くなるかもしれません。
自分でストリングを張れるなら弱点は小さくなる
ただし、私にとってこの弱点はそこまで致命的ではありません。
なぜなら、自分でストリングを張れるから。
私は自宅にストリングマシン「クリッパーメイト」を持っています。
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自分で張れば工賃は掛かりませんし、ストリングをロールで買えば一度の張り替え費用もかなり安くできます。
つまり、ストリングを消耗しやすいSラケットと、自宅ストリングマシンは案外相性が良いのかもしれません。
安いスピン系ストリングをロール買いすべし。
BURN 100S V6の良かったところ・気になったところ

実際に使ってみて感じた長所と短所を、簡単にまとめます。
◆BURN 100S V6の良かったところ
・鬼のようなスピンがかかる
・高弾道でもしっかりコートに落ちる
・スピンだけでなく球威も出しやすい
・回転系サーブが非常に楽しい
・高弾道スピンでベースラインから押していける
・18×16という個性的なストリングパターン
・現行モデルとしてはかなり安い
◆BURN 100S V6の気になったところ
・弾きが良いので、当てるだけだと飛びすぎることがある
・ボレーなど繊細なタッチは少し難しい
・フラットすぎるショットは暴れやすい
・ストリングの消耗はかなり早そう
長所と短所がかなりハッキリしたラケットだと思います。
しかし、その短所も含めてキャラクターが分かりやすいので、個人的には結構好きですね。
BURN 100S V6はどんな人にオススメ?
個人的に一番オススメしたいのは、高弾道のグリグリスピンでベースラインから戦いたい人です。
最近のスピン系ラケットは、低めの弾道から高速スピンで攻撃していく方向性がトレンドのように感じます。
その中でBURN 100Sは、高いネットクリアランスを確保しながら、強烈な回転でボールを落とすという戦い方が非常にやりやすいです。
高弾道グリグリスピン大好きマン。
スピンサーブやスライスサーブなど、回転系サーブを主体にする人にも合いそうですね。
逆に、フラット系ショットが主体の人、ネットプレーやタッチ性能を最優先する人、ストリングを切りやすい人には、しっくりこないかもしれません。
まとめ:Sラケット楽しい

好奇心と手を出しやすい価格から、衝動的にBURN 100S V6を買ってみましたが、かなり気に入りました。
価格的には他のラインナップより安価なので、性能はそれなりなのかな?と思っていましたが、そのスピン性能は一線を画すと思います。
「アウトした」と思った高弾道のボールが急降下して入り、そしてノビる。
スピンサーブは高く跳ねるし打ちやすい。
そのうえ回転だけではなく、ちゃんと球威もある。
ストロークとサーブが楽しくなるラケットですね。
一方で、約2時間の使用でもノッチが確認できましたので、ストリングの耐久性とのトレードオフはありそうです。
その点まで考えると決して万人向けとは言いづらいですが、私のように自分でストリングを張れる人ならデメリットもかなり小さくできます。
何より現行モデルながら比較的安く、「18×16のSラケを一度試してみたい」という好奇心を満たすにはかなり面白い一本だと思います。
高弾道グリグリスピンでベースラインから押したい人には、ぜひ一度試してほしいラケットです。
かなり気に入りました!
爆裂グリグリスピンを打ちたい人におすすめします。
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参考文献
-
Washida, Y., Elliott, N., & Allen, T. (2014).
Measurement of Main Strings Movement and its Effect on Tennis Ball Spin.
Procedia Engineering, 72, 557–562.
DOI:10.1016/j.proeng.2014.06.097
Sheffield Hallam University -
Nicolaides, A., Elliott, N., Kelley, J., Pinaffo, M., & Allen, T. (2013).
Effect of String Bed Pattern on Ball Spin Generation from a Tennis Racket.
Sports Engineering, 16(3), 181–188.
DOI:10.1007/s12283-013-0118-y -
Severa, W. D., Lyons, J. B., Kapheim, R. T., & Thurman, R. T. / Wilson Sporting Goods Co. (2014).
Racquet Configured with Fewer Cross Strings than Main Strings.
U.S. Patent No. 8,808,121.
U.S. Patent 8,808,121





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